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空気汚染による有害物質と人体への影響---その1「大気汚染」

 人間は、毎日ごはん100杯分の空気を吸っているそうです。

この空気が汚染されると、人間、ほかの動物、植物の健康を害し、地球環境にも悪影響を及ぼします。

そこで今回は、空気汚染のうち、「大気汚染」についてご紹介いたします。


1. 大気汚染物質の発生源

 大気汚染物質には、もともと大気中に微量存在するものと、私たちの社会活動により生成されるものがあります。

社会活動の主なものとして、工場などの生産活動により排出されるものと、自動車など移動手段の使用によって排出されるものがあります。

また、その形状は、ガス状、エアロゾル状、粒子状と様々です。


2. 大気汚染による影響

 大気汚染により、人体の呼吸器系統に影響を与えます。

せき、喘息、気管支炎などの原因になることが分かっています。

また光化学スモッグが発生すると、外出を控えるようになり、私たちの日常生活や経済活動が制限されてしまいます。

 一方、自然環境に対しても、酸性雨などによる森林や農作物への悪影響や、早期落葉などが引き起こされます。


3. 大気汚染物質の種類

 大気汚染防止法では、工場や事業場の施設ごとの排出規制、指定地域での総量規制、自動車排出ガスの許容限度の設定などによって大気汚染の防止を図っています。

規制の対象となっている物質は、ばい煙、粉じん、自動車排出ガス、特定物質、有害大気汚染物質、揮発性有機化合物(VOC)などです。

以下に、現在までに社会問題化してきた主な大気汚染物質を記します。


1)硫黄酸化物(SOx)

・石油や石炭などの化石燃料が燃える際に発生

・工場からの煙などに含まれる

・酸性雨の原因

・気管支炎、ぜんそくの原因


2)窒素酸化物(NOx)

・燃料を高温で燃やすことで、燃料中や空気中の窒素と酸素が結びついて発生

・発生源は、工場、火力発電所、自動車、家庭など多様

・のど、気管、肺などの呼吸器に悪影響を及ぼす


3)光化学オキシダント(Ox)

・自動車や工場などから排出された窒素酸化物や揮発性有機化合物が、紫外線を受けて光化学反応を起こすことで生じる

・光化学スモッグは、高濃度の光化学オキシダントが大気中に漂う現象

・目の痛み、吐き気、頭痛などを引き起こす


4)粒子状物質(PM)

・固体および液体の粒

・工場などの煙から出るばいじん、鉱物の堆積場などから発生する粉じん、ディーゼル車の排出ガスに含まれる黒煙、土ぼこりなど

・呼吸器疾患、がんなどと関連があると考えられる


5)浮遊粒子状物質(SPM)

・粒子状物質のうち、粒径10マイクロメートル以下の小さなもの

・粒径が小さいため、吸い込まれると肺や気管などに沈着しやすい

・呼吸器に悪影響、がん、花粉症などのアレルギー疾患との関連性


6)微小粒子状物質(PM2.5)

・浮遊粒子状物質のうち、粒径2.5マイクロメートル以下のもの

・浮遊粒子状物質よりさらに肺の奥まで入りやすく、健康への影響も大きい

・呼吸器疾患、肺がんなどを引き起こす可能性がある


7)揮発性有機化合物(VOC)

・塗料やインク、接着剤などに溶剤として含まれる

・揮発しやすく大気で気体になる物質

・光化学スモッグを引き起こす光化学オキシダントや浮遊粒子状物質の生成原因となる


次回は、「室内空気汚染」についてご紹介いたします。

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